ことばの教室


「ことばの教室」って、何?


通級による指導のことを、一般的に「通級指導教室」と言います。
本校では、子どもたちに親しんでもらうために「ことばの教室」と呼んでいます。


通級による指導とは、小学校の通常の学級に在籍していることばに課題のある児童に対して、各教科の指導は通常の学級で行い、ことばに関する特別な指導を特別な場で行うために考えられた特別支援教育の一つの形態です。


本校ことばの教室は、昭和51年4月に広島市で2番目の教室として開設し、現在2教室があります。


安佐南区の小学校に通う子どもたちを対象にし,指導は、週1〜3時間程度です。基本的に1対1の個別指導ですが、小集団での指導も行っています。


他校から通って来られる(他校通級)場合は、保護者同伴を原則とし、通級時間を考慮して放課後も指導していますが、人数が多い場合は在籍校の授業時間と重なる場合もあります。

「ことばの教室」を利用できるのは、どんな子ども?


音や話し言葉のリズム、話す・聞くなどの課題のある子どもたちです。


平成18年度から通級による指導の対象に、自閉症者、情緒障害者、学習障害者又は注意欠陥多動性障害者に該当する児童が含まれました。発達障害の診断を受けている子ども、またはその疑いがある子どもたちも通級できます。



◎発音に課題のある子どもです。
(「サカナ」を「タカナ」、「カメ」を「タメ」、「ライオン」を「ダイオン」と発音したり、全体的に発音が不明瞭ではっきり伝わらない。)

◎話し言葉のリズムに課題のある子どもです。
(「ぼぼぼぼくは・・・」「ぼーくね」「・・・・ぼくね」と吃って話す。)

◎話す・聞くなどの課題のある子どもです。
  特に、文部科学省が定めたLDの規定に当てはまる子どもは、積極的に通級による指導をご利用ください。 

<文部科学省が1999年に定めたLDの定義>
「学習障害とは、基本的には全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、書く、計算する又は推論する能力のうち特定のものの習得と使用に著しい困難を示す状態を指すものである。学習障害は、その原因として、中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されるが、視覚障害、聴覚障害、知的障害、情緒障害などの障害や環境的な要因が直接の原因となるものではない。」


      ○読み障害(読字・読解など)

      ○書き障害(書字・作文など)
      ○読み書き障害(ディスレクシア)
      ○算数障害
      ○推論するなどの思考の障害(因果関係や時系列などの論理的思考など)などです。


具体的には、
(文字を読んだり書いたりすることが苦手、言葉のやりとりが続かない、お話の内容が理解しにくい、自分の思いや考えをうまく話せない、言葉や文字がすぐ浮かんでこない、脱字や鏡文字がある、特殊音節(小さな「つ」や「やゆよ」、くっつきの「は・をなど」)の間違いがある、漢字が覚えられないなど)がある子どもたちです。

「ことばの教室」を利用するには?


通級を希望される場合は、担任の先生と相談の上、在籍校の校長先生を通じて本校の校長に申し込んでください。


原小学校ことばの教室  TEL(082−875−0152)

ことばの教室の指導は?
 ◎言語機能の基本的な事項に課題のある子どもに対する指導例
1,語い力を高める。(言葉の数を増やす)
  

   仲間集めをして、上位語と下位語の学習をします。
   反対語や類似語を調べます。
   文章や語句や熟語や慣用句で表します。
2,言語理解力(読む・聞く)や言語表現力(話す・書く)などの国語力(文法力・構文力)を高める。


促音・長音・拗音・拗長音などの特殊音節や格助詞の指導は、決まりを知り、その言葉を使って文作りをします。

品詞、特に擬音語や擬態語を学習し、文作りをします。

指示語や接続詞の決まりや種類を、表にまとめて学習します。

時系列のことばといろいろな文型(未来形・現在進行形・過去形など)を知ります。

単文・重文・複文を学習します。

説明文や物語文を段落に分け、要点を把握しながら読み取り学習をします。


    言語指導のプログラム

@ 音韻分解・音韻合成(しりとり、語頭や語尾に○がつく言葉)
A 促音の語句と文作り        
B 長音の語句と文作り

C 拗音・拗長音の語句と文作り
D 格助詞(くっつきの言葉)
E 擬音語・擬態語の語句と文作り

F いろいろな文型(現在形・過去形・ていねい文・現在進行形・質問文・命令文・禁止文・打ち消し文・はっきりしない言い方)
G 指示語の学習 
H 接続詞(順接・逆接・付け加え・選択)の使い方と文作り
I 接続助詞の文作り・接続詞の文と接続助詞の文の言い換え
J いろいろな文型(単文・重文・複文)
K
説明文の読解学習 
L 物語文の読解学習

3,コミュニケーション力を高める。

   あいさつやお願いなどの言い方を知ります。
   自分の気持ちや考えを言葉や文で話します。
   相手に応じた話し方や丁寧語・謙譲語・敬語を学習します。
◎認知能力に課題のある子どもに対する指導例


 1,形の認知力を高める。


   モデルと同じ形を探したり、一つだけ違う形を見つけたりします。
   形を合成したり分解したりしたときの形を予想します。
   形や図形の模写をします。
   連続している形の決まりを見抜き、次の形を予想します。
   迷路やパズルをします。

,空間の認知力を高める。

  
いろんな角度から見た立体図の形を、理解します。
立体図を構成している形を把握したり、立体図を構成している(隠れている)積み木の数を数えます。

3,左右や上下などの位置関係の理解力を高める。,

  
   左右のどちらなのかを理解します。
   上下から何番目、左右から何番目を理解します。
   何番目に大きいものや小さいものを理解します。

4,地と図の認識力を育てる。


   絵の中に隠れている動物を探します。
   斜線などの線の後ろの絵を理解します。

  
◎人とのかかわりや社会性に課題のある子どもに対する指導例


 1,ソーシャル・スキルを育てる。
  

ソーシャル・スキルカードを使ったり、トラブルなどの日常の出来事を取り上げたりして、状況や原因、相手の気持ち、とるべき行為などを話し合い、ソーシャル・ストーリーを作って理解させます。

2,関わり方や、協力する態度を育てる。

 
小集団での学習の中で、子ども同士での答え合わせや、会話・質疑応答のなどのコミュニケーションを行って、集団学習を進めています。

◎発音に課題のある子どもへの指導例

1,耳の訓練

正しい音でメロディを歌って曲名を当てたり、音の数を数えたりして、正しい音をたくさん聞く刺激の学習を行います。

お話を聞いて質問に答えることや文を聴写することなどを通じて、聴覚弁別力や短期記銘力などの聞く力と態度を高めます。

 2,構音指導


正しい音と誤った音を、自分ではっきり区別して聞き分けることができるように

プログラムに沿った指導を行います。

目的音を聞きだす、同じかどうか正しいかどうかを弁別する、指導者の発音と自分の発音を比較照合するなどの指導です。

多くはこれらの指導の中で自然と正音を獲得しますが、耳で聞き分ける力が育っても発音が改善しない場合は、発音指導を行います。

3,発音・発語器官の運動機能を高める指導


まれですが、子どもによって(発音時に下顎が横に動く・舌が丸まって息がもれるなど)は、舌や唇などの運動機能を高めるトレーニングを行います。

◎吃音の子どもに対する指導例


1, 言語環境を整える。

子どもによっては、いつもの音読よりゆっくりしたスピードで、一緒に音読します。
まれに、息の出し方や声のリズムや話す速度などをアドバイスし、楽な話し方や読み方を指導します。

通常学級や家庭で、詰まることに触れないで、ゆっくり話を聞いてやるように、周りの環境を整えます。
2,自信を育てる。


失敗や間違いを受け入れるおうようさを育てるながら、得意なことを見つけて伸ばし、自信を育てる指導を行います。.

3,吃音の受容を図る。


年齢に応じて、子ども自身が吃音について正しく理解し、日々の悩みや不安な気持ちを自由に話せるようにします。

同じ吃音の子どもの存在や情報を知らせます。

◎連携を深める取り組み


保護者会や担任者会を定期的に開き、情報交換や指導についての意見交換を行っています。

言葉の教室や通常学級の授業参観を相互に行っています。

医療機関を紹介したり、医療機関との連絡や情報交換等を行っています。